こんにちは。管理栄養士の柴戸です。
なかなか外出が出来ないこの時期、「ついついインスタント食品を食べてしまう」「手軽に作れる一品料理メインで炭水化物の摂取がふえた」などで野菜不足に陥っていませんか?
そんなときは野菜スープの出番です。
野菜スープを飲めば、野菜の摂取量をふやしたり血糖値の急上昇を防いでくれる効果があります。
なにより煮だしたスープには栄養価がたっぷり!
作り置きもできるので手間もかかりません。
今回は抗がん剤の研究でノーベル賞候補にも名が挙がる研究者、
前田浩先生の著書である「最強の野菜スープ (抗がん剤の世界的権威が直伝!)」より、がん予防の最善策ともいわれる野菜スープについて詳しくご紹介。
食生活の乱れが気になる方は必見です。野菜スープの抗酸化パワーで生活習慣病予防に努めましょう。
余分な活性酸素はカラダを錆びさせる
「活性酸素が増えるとからだに良くない」
そんな話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
活性酸素とは呼吸によって取り込んだ酸素が変化して、細胞を強く酸化させる酸素のこと。
殺菌力が高く、体の中では細菌やウイルスを撃退する役目をしています。
ところが過剰に発生すると、余分な活性酸素が細胞と結びつき細胞を老化させてしまう。
サビついた鉄のようにからだを酸化させる( サビつかせる)のです。
からだが「サビつく」とどうなる?
からだがサビつくと、正常な細胞や遺伝子をも攻撃し、がんや心疾患、アトピー性皮膚炎や認知症など多くの生活習慣病の原因となります。
・風邪をひきやすくなった
・疲れが取れない
こんな症状も活性酸素の影響のひとつです。
活性酸素を抑えるためには?
生きている限り逃げられない猛毒の活性酸素。
やっつけるには”野菜”を食べることが有効です。
野菜には抗酸化物質といって、活性酸素を消去してくれる物質が多く含まれています。
抗酸化物質の宝庫である野菜をたっぷり食べ、体内に抗酸化物質を取り込む。
これが活性酸素を撃退し、生活習慣病の予防やアンチエイジングにつながります。
野菜や果物を食べるひとは、がんや生活習慣病になりにくいというのも納得ですね。
生野菜に比べ、吸収効率を格段にアップさせる方法があります。
それは野菜を加熱してスープにすること。
野菜をスープにして食べるメリットは?

私たちの実験で、野菜の活性酸素を消去する働きは、生野菜をすりつぶしたものより、野菜を煮出したゆで汁のほうが10倍~100倍強いことが明らかになっています。
最強の野菜スープ (抗がん剤の世界的権威が直伝!)より引用
野菜を加熱することで、本来吸収されることの少なかった栄養成分が細胞破壊によって溶け出します。その結果、生野菜で食べるより10倍以上の抗酸化力を手に入れることができます。
・細胞を破壊させることにより、溶けだした成分が吸収される
・食物繊維が溶けて、免疫力アップや腸内細菌が改善される
・肝炎ウイルスやO-157、ピロリ菌の殺菌
・有害成分の除去 など
ゆで野菜や煮ものなども良いですが、スープにすればお汁に溶け出した成分までしっかりと飲み干すことができ吸収効率はグンとアップします。
毎食のメニューに野菜スープを取り入れ、温野菜やお浸し、野菜炒めなどをくわえれば1日の野菜の摂取量(目標350g)はラクにとることができます。
野菜に含まれる抗酸化物質

野菜に含まれる抗酸化物質の代表的なものをご紹介します。
・ビタミンA・C・E
・グルタチオン
ファイトケミカル

ファイトケミカルは、植物性の食品に多く含まれている成分。
抗酸化作用、免疫力強化、血液サラサラ効果など多くの健康効果があります。
たとえばこんなものに含まれています。
- ブロッコリーのスルフォラファン(抗ピロリ菌、抗アレルギー作用)
- トマトのリコピン(抗酸化作用はビタミンEの100倍以上!)
- 大豆のイソフラボン(骨粗しょう症予防)
- 玉ねぎ・りんごのケルセチン(抗酸化作用、抗アレルギー)
- 緑茶のカテキン(脂質の燃焼、活性酸素除去)
- 海藻のフコイダン(免疫細胞の活性化)
- もずくのフコキサンチン(がん細胞の増殖を抑える)
ファイトケミカルには、がんの原因となる活性酸素を消去したり、間接的にがん化を抑えたり、いくつもの作用があります。
ビタミンA・C・E

抗酸化ビタミンのエース「ACE」は強力な抗酸化作用を発揮します。
3つのビタミンは単独でも効果を発揮しますが、役割を分担したり働きを補いあうことで効果を高めます。
- にんじん
- 小松菜
- ほうれん草
- 赤ピーマン
- レモン
- カリフラワー
- かぼちゃ
- モロヘイヤ
- 大豆
グルタチオン

グルタチオンは猛毒の脂質ラジカルを消去して、がんや炎症を予防します。
抗酸化作用は、慢性肝炎、白内障、口内炎、皮膚炎、潰瘍、動脈硬化の治療薬に活用されるほど優れています。
水に溶ける性質があり、スープにすれば効率よく摂取できます。
- パセリ
- ブロッコリー
- ほうれん草
基本の野菜スープの作り方
野菜は生よりも加熱!さらにスープにすれば吸収効率もあがることがわかりました。
では、さっそくその野菜スープを作ってみましょう。
作り方はとても簡単。
基本はファイトケミカルを豊富に含むキャベツ・玉ねぎ・人参・カボチャの4種類をコトコト煮込むだけ。ファイトケミカルがしっかりとスープに溶け出した、栄養豊富で抗酸化力の高いスープが出来上がります。

材料(2人分)
・水 約1リットル
- 野菜をそれぞれ食べやすい大きさに切る。(にんじん、かぼちゃは皮ごと)
- 鍋に野菜と水を入れて沸騰させる。
- 沸騰したらふたをして、弱火で約20分ほど煮込んで完成!

野菜と水だけで煮た、野菜のうま味がしっかりと感じられるシンプルなスープです。
大量に作り小分けにして冷凍保存しておけば、いつでも食べられて便利ですよ。
基本的に味つけはなしですが、物足りない場合は昆布やしいたけを加えたり、隠し味程度にしょうゆやコショウ、味噌なども使うと変化がでます。
基本のスープにひと手間くわえてアレンジを楽しもう
クラムチャウダー

基本のスープ200ccに、あさり缶をひと缶加え火にかけます。
ひと煮立ちしたら、豆乳100ccとコンソメ1個を加え、塩コショウで味を調えたらできあがり。
カレースープ

基本のスープ500ccに大豆の水煮100g、おろしにんにく、おろししょうがを加え火にかけます。
ひと煮立ちしたら、カレー粉・しょうゆ大さじ1・ケチャップ大さじ2・固形コンソメ1個を加え煮込んだらできあがり。
トマトリゾット

基本のスープ200ccにトマト1缶、ツナ1缶、しめじを加え中火で煮込みます。
煮たってきたらごはんを加え、ケチャップ大さじ2、塩コショウで味を調えて煮詰めます。うつわに盛ってできあがり。
おわりに
野菜を加熱しスープにすることで、うまみと栄養をあますところなくいただけます。
野菜の摂取量が増えるばかりでなく、血糖値の急上昇を防ぐなど健康面でのメリットも。
シンプルな味つけにすればアレンジもできて食べ飽きることもありません。
毎食に野菜スープをプラス一品。
日々の病気予防に取り入れたい新習慣です。ぜひおためしください。