最近、「フレイル」という言葉を耳にすることが増えてきました。
これは、年を取るにつれて心や体の機能が少しずつ弱ってくる、健康と介護のあいだの状態のこと。でも、ちょっとした工夫や意識で、この“ゆるやかな衰え”は予防できるんです。
今回は、管理栄養士の視点から「フレイルとは何か?」
そして、毎日の暮らしの中でムリなくできる予防のコツをお伝えします。
フレイルとは?高齢期に気をつけたい心と体の衰え

「フレイル」とは、健康な状態と介護が必要になる状態の“中間”にあたります。
年を取ると、「なんとなく疲れやすい」「外に出るのがおっくうになった」なんて感じることも増えてきますよね。
もしかするとそれが、「フレイル」のはじまりかもしれません。
でも大丈夫。
フレイルは気づいて、対策を始めることで十分に改善が見込める状態なんです。
フレイルのサインに気づこう

最近、こんなことはありませんか?
✅体重が減ってきた
✅なんだか疲れやすい
✅歩くスピードが遅くなった
✅握力が弱くなった気がする
✅家の中でじっとしている時間が増えた
こうしたサインに心あたりがある場合、もしかするとフレイルのはじまりかもしれません。
放っておくと、転びやすくなったり、風邪や病気にかかりやすくなったり…。
でも、早めに気づいてケアをしていけば、元気な状態をしっかりキープできますよ。
管理栄養士が考える「フレイル」対策
「フレイル=心と体のちょっとした衰え」は、毎日の食事や暮らし方で予防できるもの。
ここでは、すぐにでも取り入れられる5つの習慣をご紹介します。

1.たんぱく質をしっかり摂って筋肉をキープ
年齢とともに筋肉は自然と減りやすくなります。
魚・お肉・卵・大豆製品など、たんぱく質を含む食材を毎食少しずつ取り入れることが大切です。
📌 たとえば…
朝ごはんに納豆やゆで卵をプラス。おやつにチーズやヨーグルトも◎
2.栄養バランスを整える「一汁三菜」の食事
ごはん(主食)・おかず(主菜)・野菜や海藻(副菜)をバランスよくそろえることで、自然と必要な栄養素がとれます。
📌 たとえば…
時間がない日は、冷凍野菜や缶詰を使って、サッと副菜を追加してみましょう。
3.食欲がない日は食べやすさを工夫して
「今日はちょっと食欲がないな…」という日もありますよね。
そんなときは、食べやすくて栄養のあるものを少しだけでもOK。味付けや食感を工夫すると、食べやすさがアップします。
📌 たとえば…
カレー味やポン酢味にしたり、煮込み料理でやわらかく調理するのがおすすめです。
4.お口の健康もフレイル対策の大事なカギ
噛む力や飲み込む力が落ちてくると、食事そのものがつらく感じてしまうことも。
定期的に歯医者さんでチェックして、お口の健康も忘れずに守っていきましょう。
📌 たとえば…
毎日の歯みがきに加えて、「あいうべ体操」などの口まわり体操もぜひ取り入れてみてくださいね。
5.軽い運動を毎日の習慣に
軽い運動を続けることで、筋肉が維持できるだけでなく、食欲も自然とアップします。
無理のないペースで、できることから始めてみましょう。
📌 たとえば…
椅子に座ったまま足踏みしたり、腕をゆっくり上げ下げするだけでもOKです。
毎日の暮らしで、できることから始めよう
フレイル対策は、早めの意識と小さな行動の積み重ねがとても重要です。
「少し疲れやすくなったかも」「家でじっとしていることがふえた…」という方は、まず食事から見直してみませんか?
家族のために、自分自身の未来のために。
軽いお散歩やストレッチも、心と体にとてもいい効果をもたらします。
健康な毎日を続けていくために、できることから少しずつ始めてみませんか?