カロリーが低く、ダイエットの力強い味方でもある「海藻」
表面のヌルヌルとしたぬめり成分に、さまざまな健康効果があるのはご存知ですか?
今回は、海藻のぬめり成分「フコイダン」に注目しました。
フコイダンのもつ健康効果や、食事でフコイダンが摂れるレシピをご紹介します。
海藻に含まれるフコイダンとは?
フコイダンは、モズクやコンブ、わかめなどの海藻類に含まれる”ヌルヌル”成分。
海の中で、海藻の葉や茎が潮の流れや砂などで傷ついたときに、そこから細菌が侵入しないよう防御したり、乾燥を防いだりする役割があります。
フコイダンは水溶性食物繊維を多く含む多糖類
海藻のヌルヌル成分フコイダンは、褐藻類に含まれる多糖類の一種です。
「多糖」と「糖」がつきますが、甘くはありません。
フコイダンは、昆布やモズク、わかめなどに含まれ、水溶性食物繊維を多く含んでいます。
食物繊維の中でも水に溶けやすい水溶性食物繊維は、水分を吸収して膨張し胃のなかで長くとどまります。これにより、小腸の消化吸収が遅くなり、血糖値の急激な上昇を防いでくれます。
ところで、血糖値が高いとどんな影響があるのでしょうか?
血糖値が高くなれば、糖尿病になるリスクがあります。
糖尿病が進行すれば、血管障害をもたらし多くの合併症を引き起こします。
動脈硬化からの心筋梗塞や脳梗塞、失明、腎不全になって人工透析を受けるケースもあるでしょう。
こうした生活習慣病の予防のためにも、食物繊維を多く含む海藻類を食べるのはいいことですね。
血糖値の上昇を抑えるだけでなく、食物繊維には腸内で善玉菌のエサとなり善玉菌を増やしてくれる効果もあります。腸内環境が整えば、便秘や大腸がんの予防にもつながります。
▼食物繊維についてはこちらの記事でも解説しています。
フコイダンのヌルヌルでピロリ菌予防
「胃のあたりがシクシク痛む」「なんとなく胃が重たい」
胃の不調の原因は、食生活やストレスなどさまざまですが「ピロリ菌」も胃の粘膜にダメージを与え、胃潰瘍や胃炎を引き起こす原因となります。
胃の中は強い酸性でふつうの菌では生きていけるような環境ではありませんが、ピロリ菌は違います。ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素で胃酸を中和してバリアを張り、力強く生き抜きます。
ここでフコイダンの出番!
ヌルヌル成分であるフコイダンは、多糖体とよばれるたくさんの糖同士が分子レベルで結合したもので、ひとの胃の粘膜と親和性が高くなじみやすいという特徴をもっています。
フコイダンは胃に入るとすぐに、胃の表面に浸透して粘膜を保護し、ピロリ菌の侵入をブロック。
と同時に、胃粘膜の炎症部分を修復してくれる作用がわかっています。
- 高血圧、糖尿病・がんの予防
- コレステロール低下
- 便秘解消
- 免疫機能の活性
- アレルギー抑制作用
- ピロリ菌の除去作用
水産庁のホームページに水産物に含まれる主な機能性成分の概要と期待される効果の掲載があります。フコイダンだけではなくDHAやEPAなどの効果も載っていますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
またオキナワモズクとフコイダンに特化した学際的な研究会「オキナワモズク・フコイダン研究会」が毎年沖縄で開催され(現在はコロナにより延期)、フコイダンを研究する各専門領域の研究者がフコイダンやオキナワモズクの研究結果を講演されています。
◆オキナワモズクフコイダンの論文はこちらからご確認いただけます。
◆その他フコイダンの論文
海藻のなかでもっともフコイダンが多いのは?
フコイダンは褐藻類のほとんどの海藻に含まれています。
コンブ、モズク、ワカメ、ひじき…。
そのなかでとくにフコイダンの含有量が多いものはどれでしょう?
答えは「モズク」!
日本で一般的に「モズク」と呼ばれる食用海藻は6種類ありますが、なかでも奄美大島や沖縄で栽培されている「オキナワモズク」にフコイダンが多く含まれています。
海藻に含まれるフコイダンは、フコースを主成分にし、それぞれに構造が大きく異なっています。
コンブやワカメのフコイダン構造と異なり、オキナワモズクにはアルギン酸などのフコイダン以外の海藻特有の多糖体が含まれていません。1種類のフコイダンのみ含有していることがわかっており、高純度で品質が高いフコイダンを得ることができるというわけです。
他の海藻由来のフコイダンに比べて早くに構造決定されたこともあり、機能性研究がすすんでいます。
オキナワモズクの流通量は全体の約9割
カップに入り、味つけなど加工されて流通している商品のほとんどはオキナワモズク。
手に入りやすく価格もお手頃なので、毎日の食事に取り入れやすいですね。
手軽に食べたいときは、カップのモズク酢や温めるだけのインスタントみそ汁、スープなどの加工食品が便利に使えます。
味が濃く塩分が気になるときは、水洗いしたりざるにあけて味を調整してみましょう。
また、乾燥モズクは水で戻すだけで簡単に使えます。
こちらも上手に利用してみてください。
モズクを使ったレシピ
海藻のなかでも、ヌルヌル成分フコイダンが最も多く含まれるモズク。
今回はそんなモズクを使ったレシピを5つご紹介します。
バリエーションの秘訣は味つけがされていない「生モズク」を使うこと。
気になるものがあればぜひ挑戦してみてくださいね!
つるんと食べやすいモズクの寒天寄せ
つるんとしたのどごしで、食欲がないときにもさっぱりと食べられます。
すこし濃いお吸い物程度の味に仕上げるのがポイント。
トマトやオクラ、海老などを加えると彩りよく豪華になります。
材料(4人分)
・だし汁 250㏄
・寒天パウダー 5g
・しょうゆ 小さじ1
・しょうがのすりおろし 適量
- 鍋にだし汁、寒天パウダーを入れて沸騰させながら煮溶かし、しょうゆで味の調整をする。
- 生モズクは食べやすい大きさに切り、①に加える。
- 型に流しいれ、荒熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固める。
- 食べやすい大きさに切り、しょうがのすりおろしを添えて出来上がり。
つるんと食べやすい、モズクの寒天寄せ by くらしいきいき
さっぱりヘルシー! モズクのサラダ蕎麦
めんつゆで手間を削減。
胃もたれや食欲がないときでもサラサラっと食べられます。
お蕎麦とモズクでさっぱりヘルシー、ダイエットにも。
材料(2人分)
・そば 200g
・生モズク 1/2カップ
・めんつゆ(ストレート)150㏄
・ごま油 大さじ2
・すりごま 適量
・ブロッコリースプラウト 1パック
・ミニトマト 4個
・半熟ゆで卵 1個
- そばは固めに茹で、ざるにあげ冷水で冷やす。半熟ゆで卵を作っておく。
- 食べやすい大きさにきった生モズクにめんつゆ、ごま油、すりごまを入れよく混ぜる。
- 器にそばを盛り②のモズクをかけ、スプラウト、ミニトマト、半熟ゆで卵を添えて出来上がり。
さっぱりヘルシー! モズクのサラダ蕎麦 by くらしいきいき
栄養満点!生モズクのチャンプルー
生モズクの食感を生かしたチャンプルーです。
お豆腐でボリュームアップし、満足感もアップさせました。
材料(2人分)
・木綿豆腐 1/2丁
・にんじん 1/3本
・溶き卵 1個分
・ごま油 大さじ1
・塩こしょう 少々
・しょうゆ 小さじ2
・かつお節 1パック
・青ネギ 適量
- 生モズクは水気を切り、食べやすい長さに切る。(塩漬けの場合は塩抜きをしておく)
- 豆腐はしっかりと水切りをする。
にんじんは千切りに、青ネギは小口切りにする。 - フライパンにごま油を熱し、にんじんを炒める。
豆腐をちぎりながら加えて炒めたら、モズクも加えてさっと炒める。 - 塩こしょう、しょうゆで味を調えたら溶き卵を回し入れ、手早く炒め合わせる。
- 器に盛り、青ネギ・かつお節を散らして出来上がり。
栄養満点、生モズクのチャンプルー by くらしいきいき
モズクの玉子焼き
定番の玉子焼きにモズクを入れて、いつものおかずにひと工夫を。
プチプチ食感がお子さまにも人気です。
材料(2人分)
・卵 3個
・モズク(味なし) 30g
・★しょうゆ 小さじ1/2
・★砂糖 小さじ1
・★塩 少々
・油 小さじ1
- モズクはさっと洗って水けを切り1㎝幅に切る。
- ボウルに卵を割り入れて混ぜ、★を加えて混ぜる。
さらにモズクを加えて混ぜる。 - 卵焼き器を中火で熱し、油を引き卵液を入れる。
中火のまま卵液の1/3量を流し込み、半熟状になったら奥から手前に巻いて奥に移動させる。
同様に2回繰り返し火からおろす。 - 食べやすい大きさに切って出来上がり。
モズクの玉子焼き by くらしいきいき
あったか、モズクとえのきの梅スープ
梅風味でさっぱり食べられるおいしいスープです。
いつもは「冷たい」モズクも、スープで食べると体が温まりますね。
材料(2人分)
・生モズク 50g
・えのき 1/2束
・だし汁 400cc
・薄口しょうゆ 大さじ1/2
・梅干し 1個
- モズクは洗って水気を切る。梅干しは種からはずし刻んでおく。
- だし汁を火にかけ、えのき、モズクを入れる。
- 火が通ったら薄口しょうゆを加えて味をととのえる。
- 器に入れ梅干しを入れたら出来上がり。
あったか、モズクとえのきの梅スープ by くらしいきいき
おわりに
海藻類のぬめり成分「フコイダン」の健康効果を感じていただけましたでしょうか。
生活習慣予防にも効果的な海藻パワー。
食事による免疫力強化に、今回のモズクレシピがお役立ていただけると幸いです。
------■参考文献■-----------
『オキナワモズクとフコイダンのお話し(沖縄イニシアティブ)』 長嶺竹秋 伊波和彦 伊藤麻由子
◆くらしいきいきの商品紹介◆
当店では、フコイダンに関する商品を取り扱っております。
詳しく知りたい方は「フコイダンとは? 」もあわせてご覧ください。