こんにちは。管理栄養士の柴戸です。
「自炊ができずに野菜不足」「こどもがあまり野菜を食べてくれない」
このように、野菜を十分に摂れていないことへの危機感はありませんか?
その悩み「重ね煮(かさねに)」が解消してくれるかもしれません。
重ね煮とは、大量に切った野菜をお鍋に重ねて並べ、蒸し煮にしたもの。
シンプルな味つけでまとめて作り置きしておくと、「いざ」というときにとっても便利です。
今回は重ね煮の基本的な作り方とアレンジレシピをご紹介します。
気になった方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
お鍋ひとつでできる「重ね煮」の作り方

重ね煮の作り方はとっても簡単。
大きめのお鍋に切った野菜を層にして重ね、ほんの少し塩をふります。
蓋をしてとろ火でゆっくりと煮込み、良い香りがして野菜がやわらかくなったら完成です。
野菜の水分だけで蒸し煮にすることで、野菜本来の「うま味」と「栄養」が最大限に引き出されます。
重ね煮をつくるときは、やみくもに素材を並べるのではなく下のイラストを参考にしてください。

この順番は、東洋医学的な陰陽の視点から野菜の性質を考えて並べています。
太陽に向かって伸びる葉物、実をつける果菜は陰性。
地面の下に向かって伸びる根菜類は陽性。
並べるときは陰性の野菜(葉物、果菜)を下に、陽性(根菜)のものは上にします。

この野菜の性質をうまく利用することで、野菜本来の「自然の甘みとうまみ」を引き出します。
まとめて作って冷蔵保存も!

シンプルな味つけの重ね煮は、おみそ汁の具にしたりさまざまアレンジができます。
野菜嫌いのお子さまには、小さく刻んでカレーの具材にしてしまうのも手ですね。
重ね煮は水を一滴も入れないで作るので約1週間保存できます。
たくさん作って保存しておけば、お料理のたびに切ったり煮たりする手間が省けます。
冷蔵庫にある残り野菜を重ね煮にしてしまえば、食品ロスの削減にもひと役買いますよ。
- かさが減りたくさんの野菜が摂れる
- 普段のおかずが半分の手間でできる
- 野菜のうま味と栄養が最大限に引き出される
では、さっそく作ってみましょう。
離乳食にも!「しい・たま・にん」の重ね煮
今回は玉ねぎとにんじん、しいたけを使ったシンプルなものにしました。
一年中手に入る材料で、いろいろな料理に幅広く使える重ね煮です。
冷蔵庫をのぞいてみて、今あるお野菜で作ってみてくださいね。

材料(作りやすい分量)
- 塩 小さじ1
- にんじん 中1本 (せん切り)
- 玉ねぎ 2個 (まわし切り)
- 生しいたけ 1パック (せん切り)
- お鍋に生しいたけ、玉ねぎ、にんじんの順に重ねる。
ひとつ材料を入れるたびに手で軽く押さえて平らにし、上から塩をふる。 - 蓋をして弱火で30~40分ほど火にかける。
- 味見をして野菜がやわらかく、甘くなったら火を止める。
木べらなどで鍋の野菜をよく混ぜ合わせる。 - バットやボウルにとって冷まして出来上がり。
必要であれば少量の水を加えてくださいね。
【参考レシピ】作りおきでアレンジ無限大!
しい・たま・にんの基本の重ね煮を使って作るアレンジレシピを3つご紹介します。
重ね煮の味付けは「お塩だけ」のとってもシンプルなもの。
だからこそ、くふう次第で和・洋・中を問わずいろいろな料理に応用ができ、すごく便利に使えます。
常備菜として冷蔵庫にあると心の「お守り」のような存在になりますよ。
ぜひお試しください。
重ね煮の豆腐ハンバーグ
あっさりとした豆腐ハンバーグに、重ね煮を使った”あん”をかけました。
口当たりもなめらかになり、食べやすいと評判です。

材料(2人分)
- 重ね煮(みじん切り) 80g
- 木綿豆腐(水切り) 150g
- 鶏ひき肉 100g
- 卵黄 1個分
- 塩 ひとつまみ
- 油 小さじ2
(あん)
- 重ね煮 50g
- だし汁 150㏄
- しょうゆ 大さじ1
- 水溶き片栗粉 大さじ2
- 青しそ(せん切り) 3枚分
- ボウルに豆腐をほぐし、ひき肉、卵黄、塩を加えて混ぜる。
さらに重ね煮を加えて混ぜ合わせる。 - 4等分して形を整えたら、フライパンで焼き色がつくまで焼く。
- あんをつくる。
鍋にだし汁、塩、しょうゆを入れ煮立たせる。
重ね煮を入れ、火が通ったら水溶き片栗粉を回し入れとろみをつける。 - 器にハンバーグを盛り、あんをかけ青しそを盛ったら出来上がり。

重ね煮の豆サラダ
重ね煮があれば、あと一品が手軽にすばやく作れます。

材料(2人分)
- 重ね煮 100g
- ミックスビーンズ(水煮) 1パック
- スプラウト 1/2パック
〈ドレッシング〉
- オリーブオイル 大さじ1
- 穀物酢 大さじ1
- 塩 少々
- 砂糖 少々
- ボウルにドレッシングの材料を混ぜ合わせておく。
- 別のボウルに重ね煮、ミックスビーンズ、根元を切り落としたスプラウトを混ぜ合わせ、①のドレッシングで和えたら出来上がり。

重ね煮のみそ汁
重ね煮を作ったときのうまみたっぷり水分を使うから、だしは不要。
忙しい朝にもすばやく作れて助かる一品です。

材料(2人分)
- 重ね煮 80g
- みそ 大さじ2
- 水 2カップ
- 油揚げ(細切り) 1/2枚
- ねぎ(小口切り) 適量
- 鍋に水を沸かし、重ね煮・油揚げを入れてみそをとく。
- 器に盛りねぎを散らして出来上がり。
おわりに
今回は、常備菜として大変便利な「重ね煮」についてご紹介しました。
野菜の特性を生かし、砂糖も化学調味料も使わずに「うまみ」を引き出すことができる重ね煮。
アレンジ次第で何種類ものメニューに応用できるので、「食べきれるかな?」の心配もありません。
小さく刻んで離乳食に。
忙しい方の野菜不足改善に。
あなただけのオリジナルの組み合わせを見つける楽しみも!
ぜひ色々挑戦してみてくださいね。
▼こちらの記事では野菜がたくさん食べられるレシピをご紹介しています。
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------■参考文献■-----------
『わらのごはん』 船越 康弘 船越 かおり