子宮頸がんの診断について、組織を切り取って判定するのが従来の方法。
これからは、切り取らずに画像診断で判定できるかもしれない!とのニュースが飛び込んできました。
子宮頸がんの診断をする際、組織を切り取って顕微鏡で観察する代わりに、赤外線を使った撮影と人工知能(AI)による画像解読で迅速に判定できる手法を開発したと、大阪大と九州大、ニコンのチームが23日、米がん学会誌に発表した。
大阪大の松井崇浩助教は「患者の体への負担を減らしながら病理医と同じレベルの診断ができる」と話した。数年以内に医師の診断を支援する検査機器として実用化する考え。新手法では、内視鏡で近赤外線を当て、反射した光を読み取って組織の立体画像を作成。AIが解読し、細胞核の形などから正常か表面にとどまっているがんか、深く食い込んだがんかを判定する。
西日本新聞より(2020/7/23 23:00)
20代後半から40代の若い女性を中心にかかりやすい子宮頸がん。
今回はこのニュースをきっかけに、子宮頸がんについて気になることをピックアップ。
初期症状や罹患率、予防のための適切な検診頻度など国立がん研究センターの情報を元にまとめてみました。
子宮頸がんについて

子宮頸がんは、子宮の入り口にある子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。
入り口付近に発生するケースが多いため、検診で発見されやすいがんです。
子宮頸がんの特徴は、早期に発見すれば比較的治療がしやすく、予後のよいがんであること。
進行した状態で発見されると、骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったり、また血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器(肺など)に転移したりして、治療が困難になります。子宮や卵巣を摘出しなければならないケースもあり、妊娠・出産の可能性を失ってしまいます。
子宮頸がん発症までの流れ
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連していて、性交渉で子宮頸部に感染します。
HPVはありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の多くは知らずのうちに感染経験があるかも。感染しても大多数の人は免疫によって自然に排除されますが、ごく一部の人にHPVが排除されず感染が続くケースがあります。
感染が続くと一部に異形成(がんになる前の状態)が起き、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。
*男性もHPVに感染しますが、がんを発症することはごくまれです。

自覚症状ってあるのかな?
異形成の時期では症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
自覚症状がなければ、自分では気づくことができない…。となれば、やはり定期検診が重要!
検診により異形成の段階で発見できれば、がんになる前に治療ができます。

ちなみに子宮頸がんが進行すると、こんな症状があらわれるそう。
- 月経中でないときや性交時に出血する
- 濃い茶色や膿(うみ)のようなおりものが増える
- 尿や便に血が混じったりする
- 下腹部の痛み
少しでも気になる症状があるときは、早めに婦人科を受診しましょう。
子宮頸がんに罹患する確率

子宮頸がんは、国内で1年間に約11,000人が診断されています。
75人に1人の割合で罹患する確率になります。
20歳代後半から増加して40歳代でピークを迎え、その後横ばいに。
最大の予防は定期検診!
子宮頸がんは、「検診に行く」「生活習慣を整える」など予防への行動が大事。
検診はどうやって受ければいいの?
定期検診は、市町村が実施している「がん検診」への申し込みか、職場での健康診断で実施されます。
郵便でクーポンが送られてきたり、市町村のホームページに記載があることも。
ほとんどの市町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で受けることができます。
検診の内容は、子宮頸部の細胞診および内診、問診、視診。
細胞診は、子宮頸部(子宮の入り口)を、先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採り、異常な細胞を顕微鏡で調べる検査です。
人によってほんの少し痛みがある程度。検診時間もそんなにかからないですよ。
検診頻度は、20歳以上は2年に1回!
忘れないよう、「誕生日」や「記念日」に検診するなどあらかじめ日にちを決めておくのもいいですね。
20歳代から30歳代で急増している子宮頸がん、自分は大丈夫と思わずに、欠かさず検診を受けましょう。
生活習慣を整えるとは?
子宮頸がんに限らず、がんを予防するために大事な5つの健康習慣です。
- 禁煙
- 節度のある飲酒
- バランスのよい食事
- 身体活動
- 適正な体形
禁煙、飲酒に関しては、言わずもがなですが、バランスのよい食事とはどのようなものでしょうか?
それは、「減塩する」「野菜や果物をきちんと食べる」「熱い飲み物や食べ物は冷ましてから」。
冷ましてから食べたほうがいい理由は、熱いものは口の中や食道の粘膜を傷つける可能性があるため。
粘膜を大事にすることは、感染予防にもつながります。
適度な運動に加え、太り過ぎず痩せすぎない体型を維持すること。
簡単なようでなかなか難しいですが、バランスのよい食事を心がけると自然に体型も変わってきます。身軽に動けるようになれば、活動量も増え、さらに健康に近づきます。
いきいきとした毎日をすごすために、まずは日ごろの習慣を見直してみましょう。
子宮頸がん予防におすすめの食材


おすすめ食材は「さつまいも」と「まいたけ」!
さつまいものしぼり汁に含まれる「ガングリオシド」という物質に、がん細胞の増殖を抑える効果があります。またビタミンCで抗酸化作用、食物繊維で有害物質を体外に排泄するため、がんの予防効果が期待できます。
きのこ類には、免疫力アップ効果のある「βグルカン」という成分が含まれており、コレステロール値の減少や抗がん作用が期待できます。
特にまいたけには、MD-フラクションという成分に、がん抑制効果があるといわれています。
1日に30g~50g(約半パック)の摂取を目標としてください。

おすすめ食材を使ったレシピを2つご紹介します。
さつまいもとりんごのお酢煮
お酢を使ったさっぱりとしたデザートです。

材料(4人分)
- さつまいも 中1本
- りんご 1個
- 砂糖 大さじ2
- 酢 大さじ1
作り方
- さつまいもは洗い、1センチの輪切りにして水にさらす。りんごは皮をむき1センチのスライスにしておく。
- 鍋にすべての材料をいれ、水を1/2カップくわえ、弱火で15分ほど煮る。
竹串などでさつまいもに火がとおっているかを確認して、火がとおっていれば出来上がり。

舞茸とにんじんのきんぴら
ご飯がすすむ、お弁当にもぴったりのおかずです。ぜひ作ってみてくださいね。

材料(2人分)
- まいたけ 1パック
- にんじん 1/2本
- 白ごま 大さじ2
- しょうゆ 大さじ2
- みりん 大さじ2
- ごま油 少々
- 青ねぎ 少々
作り方
- まいたけは手でさき、にんじんは千切りにする。
- フライパンにごま油を熱してにんじんを入れ炒める。
- しんなりしてきたら、まいたけを加えて、しょうゆとみりんを回し入れ、水分が飛ぶように炒める。
- 仕上げに白ごまをいれて出来上がり。器に盛り、青ねぎを散らして出来上がり。

おわりに
いかがでしたか?
子宮頸がんは若い女性に多くみられる病気。
定期検診により初期に発見することで、治癒率も高まり妊娠出産も可能になります。
また喫煙が原因になるともいわれているため、たばこを吸わないなど、生活習慣も気をつけることが予防の一歩。
「若いから大丈夫!」ではなく、「若いうちからしっかりと予防」をすることが大事。
まだ受けたことがない方は、さっそく今年から検診を受けてみましょう。