【不足しがちなオメガ3】 油のバランスを整えて健康に!

こんにちは。管理栄養士の柴戸です。

スーパーの売り場にずらりと並ぶたくさんの油。
サラダ油からごま油、オリーブオイルにこめ油など、どれを選べばいいのか悩んでいませんか?

それぞれの種類には適した用途があるのですが、とりかたを間違えると本来の力が発揮できなかったり、健康を脅かす原因にもなります。

今回は数ある油の中から、からだによいといわれる油の選び方やバランスよくとる方法、良質な油を効率よくとれるおいしいレシピをご紹介します。

油の働き

私たちのからだにとって油はなくてはならない存在です。
体温を保ったり、肌や髪のうるおいを守るなど、主に6つの働きがあります。

油の主な6つの働き
  1. 少量でエネルギー源になる
  2. 脳や神経の働きを保つ
  3. 体温を保つ
  4. 血液をつくる
  5. 細胞膜をつくる
  6. 肌・髪のうるおいを守る

ダイエット中で脂質を避けた生活を続けていると、肌がカサカサしたり、ニキビができてしまった経験はありませんか?
これはからだの中で油が不足して、皮脂と水分バランスが崩れた結果によるもの。

このように必要な油が不足すると、からだや肌の老化が促進されホルモン異常によるトラブルなどを引き起こす原因になります
いきいきとしたからだをつくるためにも、良質な油をバランスよくとることが大切なのですね。

油の種類

油には種類があり、それぞれ体内での働きや役割が異なります。

しばと
しばと

油の種類は大きく2つに分けられます

  • 飽和脂肪酸
  • 不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、主に動物性の脂に含まれています。
肉類やバター、ココナッツ油など固体のものが多いのが特徴。
細胞膜の材料やエネルギー源となりますが、摂りすぎは生活習慣病を引き起こします

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は主に植物油や魚に多く含まれます。
さらに「オメガ3・6・9」 という3つのグループに分類されます。

不飽和脂肪酸
  1. オメガ3系 αリノレン酸(えごま油・亜麻仁油、青魚の油など)
  2. オメガ6系 リノール酸(紅花油・ひまわり油などの一般的なサラダ油)
  3. オメガ9系 オレイン酸(オリーブオイル・なたね油など)

最近ではオメガ6の油のとりすぎによる害が指摘され、からだに良い働きをするオメガ3の油が注目されています

油の摂り方はバランスが大事

オメガ3とオメガ6はどちらもヒトの体内では作り出せないことから、食事などを通じて外から補う必要がある「必須脂肪酸」です。

オメガ3とオメガ6がバランスよくとれていると、炎症を沈め血液をサラサラにするほか、脳の正常な働きを助けることにより、うつの改善や認知症の発生を抑えます。(図1)

一方、オメガ6の摂りすぎはアレルギーやアトピー、花粉症、うつ病やがんなどの原因となることが研究などから指摘されています。(図2)

オメガ6はサラダ油や紅花油など一般的な植物油に多く含まれ、外食やコンビニの食事などによく使われているため、摂りすぎの傾向にあります。
オメガ6の摂取はできるだけ減らし、オメガ3・オメガ9の油をバランスよくとるようにしましょう

  • 精製・加工植物油(悪い油)は極力減らす
  • えごま油・亜麻仁油、青魚の油などのオメガ3(良い油)を積極的にとる

上手な油の摂り方・選び方

油にも多くの種類があり、いったいどれを選べばいいのか悩みますよね。
からだにいい油を選べば、病気や老化予防にも役立ちます。
それぞれの特徴を知って使い分けてみましょう。

結局どんな油を使えばいいのかな?

しばと
しばと

健康効果を狙うなら、えごま油や亜麻仁油。
普段使いには加熱できるオリーブオイルやごま油が◎。

おすすめ!(加熱NG)普段使いに(加熱OK)なるべく控えたい
油の種類えごま油
亜麻仁油
オリーブオイル
ごま油
サラダ油
コーン油
紅花油
マーガリン
バター
説明酸化しやすいので
新鮮なものを加熱せずに摂るのがポイント。
1日の摂取量は小さじ1杯(4g)
●オリーブオイル
短期間で使い切れるサイズを。
炒め物…ピュアオイル
生食用…エキストラバージンオイル
ごま油
加熱料理に適している。
セサモリンという抗酸化物質が含まれます。
人工的に精製されたものが多く、
摂り過ぎによる弊害が指摘されています。

おすすめのえごま油や亜麻仁油などのオメガ3の油は酸化しやすく加熱に弱いため、新鮮な油を生のままで摂るといいですよ。亜麻仁油は醤油との相性も抜群なので、和食にもぴったり。

そこで、オリーブオイルやえごま油、亜麻仁油を生のままでとれるおいしいレシピをご紹介します。

鯛のカルパッチョ

かぼすのさわやかな酸味が新鮮な食材のうま味を引き出します。
彩りも鮮やかで、特別な日やおもてなし料理にもいいですね。

材料(4人分)
  • 鯛(お刺身)    120g
  • きゅうり      1/3本
  • パプリカ(赤黄)  1/4個
  • (A)塩・コショウ 少々
  • (A)えごま油   大さじ1
  • (A)かぼす果汁  大さじ2
作り方
  1. きゅうり、パプリカをみじん切りにする。
  2. ボウルに(A)の材料を混ぜ合わせてドレッシングを作る。
  3. 器に鯛を並べ①をのせ、②のドレッシングをかけて出来上がり。
Cpicon さわやかな酸味が決め手!鯛のカルパッチョ by くらしいきいき

「かける」だけで健康効果アップ

「生のまま」の特徴をいかして、いつもの食事に「かけるだけ」から始めてみませんか?
小さじ1杯の油をプラスすることで、いつものメニューにコクと風味が加わります。

しばと
しばと

色々ためしてみてくださいね!

【 オリーブオイル 】サラダに

油と緑黄色野菜は相性がよく、オリーブオイル1杯でビタミン吸収をアップさせます。

【 オリーブオイル 】ポタージュに

スープとの相性も抜群。
野菜を使うポタージュはビタミンの吸収も助けてくれます。

【 えごま油 】おかゆに

食べやすく、胃腸にやさしい1品。
油をたらすことで、食欲が落ちているときでも手軽にエネルギー補給ができます。

【 えごま油 】 冷ややっこに

良質なたんぱく質と油の組み合わせは脳神経細胞の働きを高めてくれます

知っていますか? トランス脂肪酸の危険

危険な油の代表格として世界各国で規制されつつあるトランス脂肪酸。
日本ではいまだ多くの食品に含まれているのが現状です。

トランス脂肪酸とは

トランス脂肪酸とは、高温処理や水素添加するなど油脂を加工する際にできるもので、マーガリンやショートニングなどに多く含まれています。
天然の植物油にはほとんど含まれていません。

からだへの影響

トランス脂肪酸を多くとりすぎると細胞の働きが狂い、認知症・がんなど生活習慣病のリスクが高まることがわかっています。また悪玉コレステロールが増え、心疾患の原因となるといわれています。

注意したい原材料

「マーガリン」や「ショートニング」だけではなく、原材料名に「植物油脂」や「加工油脂」などの表記があるものもトランス脂肪酸を含む油脂を使用しているケースが多くあります

しばと
しばと

ラベルを見て、なるべく避けるようにしましょう。

おわりに

今回は油の働きや特徴、バランスのよい摂り方や食べ方についてご紹介しました。
青魚に含まれるDHAやEPAもオメガ3系の良質な油です。魚の摂取量が少なくなってきたと言われる昨今ですが、健康効果を高めるためにも、もっと口にする機会を増やしたいですね。

また「揚げ物」や「炒める」料理法から「蒸す」「ゆでる」に変えるだけでも、油の摂取量を下げられます。バランスを意識した食事をこころがけましょう。

------■参考文献■-----------
『元気になる「油」、病気になる「油」』 監修・川村賢司(医学博士)