こんにちは。管理栄養士の柴戸です。
みなさんは「骨粗しょう症」という病気をご存知でしょうか。
骨粗しょう症は、骨密度の低下や骨質の劣化により骨がもろくなる病気です。
わが国では人口の約10パーセントが罹患。よくある病気となっているのが現状です。
骨のもろさが招く転倒や骨折がきっかけで、思わぬ寝たきり生活になることも。
リスクを避けるためには「食事・運動・定期的な検診」の3つが重要です。
今回は骨粗しょう症の予防策のひとつ「食事」に着目し、骨をじょうぶにする栄養とレシピをご紹介します。今からでもできる対策で、老けない骨をつくる健康的な習慣を身につけていきましょう。
女性に多い骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の量が減ってスカスカになって、骨がもろくなってしまう病気です。
罹患者の約80%が女性といわれます。それは一体なぜでしょうか?
実は女性ホルモンであるエストロゲンと関係があります。
私たちの骨はつねに古いものと新しいものが入れ替わっているのですが、何らかの要因で入れ替わりのバランスが崩れると骨の強度が低下します。
バランスが崩れる要因としては、遺伝的要因にくわえ、加齢によるもの、栄養・運動不足。
そして女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏などが挙げられます。
女性は閉経をきっかけにエストロゲンがぐんと低下します。
これにより骨の新陳代謝のバランスがくずれ骨密度が急速に減少。
古い骨は破壊される一方で新しい骨の割合が少なくなり、骨の質が劣化してしまうことに。
骨粗しょう症罹患者に女性が多いのはこんな理由からです。

骨粗しょう症を発症しても明らかな痛みがなく、症状に気づかないケースもあります。
「背中や腰が丸まってきた、身長が少しずつ縮んできた」
こんな場合は椎体の圧迫骨折が考えられます。
痛み等の自覚症状がなくても、予防として数年に一度は骨密度検査を受けてみませんか。
健康な骨をつくるのに欠かせない栄養素

骨を強くするために欠かせない5つの栄養素があります。
- カルシウム(例:大豆製品、小魚、ごま、切干大根)
- たんぱく質(例:肉類、魚類、大豆製品、卵、乳製品)
- ビタミンD(例:魚介類、きのこ)
- ビタミンK(例:納豆、青菜)
- マグネシウム(例:大豆製品、海藻類)
骨を強くするカギは「カルシウム・たんぱく質・ビタミンD」。
補助する栄養素としてビタミンKやマグネシウムが挙げられます。
「骨の健康=カルシウムをたくさん摂ればいい」のではなく、色々なものをバランスよく摂取することが大切です。

骨形成を促進する、骨からのミネラル溶出を抑える、などそれぞれの役割があるからです
じょうぶな骨をつくるレシピ
ここからは骨を強くする5つの栄養素を含んだ食材で作れるレシピを4つご紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
お弁当に!鮭とごぼうのうま煮

▶ビタミンD…鮭
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨形成を促進します。
紫外線にあたると皮膚で生成されるので日光浴がおすすめ。
日照時間の減る冬場や、室内にいることが多い方は、積極的に摂取したい栄養素ですね。
- 生鮭切り身 2切れ
- 塩 少々
- 酒 大さじ1
- 片栗粉大さじ1/2
- ごぼう 1本
- ごま油 小さじ1
- ★水 100ml
- ★砂糖 大さじ1
- ★しょうゆ 大さじ1
- ★酒 大さじ3
- ごぼうは4~5㎝長さに切り4つ割にする。水にさらし水気を切っておく。
鮭は1切れを3等分にし、塩と酒をふる。 - 鍋にごま油を入れ熱し、ごぼうを入れて中火で炒める。
油がまわったら★の調味料を加える。 - 鮭の水気をペーパータオルでふき、片栗粉をまぶす。
- ②が煮立ったら鮭を加え、落し蓋をして中火で10分程煮る。

イワシの南蛮漬け

▶カルシウム / ビタミンD…イワシ
骨や殻を含む魚介類や骨付きの鶏肉をお酢と一緒に煮込むと、カルシウムなどのミネラルが多く溶け出します。
一緒に食べて吸収力をアップしましょう!
- イワシ開き 2尾分
- 塩コショウ 少々
- 小麦粉 大さじ2
- にんじん 1/3本
- ピーマン 1/2個
- 玉ねぎ 1/2個
- ●酢 大さじ4
- ●オリーブオイル 大さじ1
- ●はちみつ 大さじ1
- ●塩コショウ少々
- イワシは塩コショウをふって約5分おく。
にんじん・ピーマンは千切りにし、玉ねぎは薄切りにする。 - ボウルに●をすべて合わせ、切った野菜を漬ける。
- ①のイワシの水気をペーパータオルで拭き小麦粉をまぶす。
フライパンに多めの油(分量外)を熱しイワシを入れて両面揚げ焼きに。 - イワシが焼きあがったら油をきってバットに並べ①の野菜を漬け汁ごと覆うようにかける。
約5分漬け込み味がなじんだら出来上がり。

あっさりがおいしい!塩麻婆豆腐

▶カルシウム / たんぱく質 / マグネシウム…木綿豆腐
マグネシウムは骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する作用があります。
骨をじょうぶにするカルシウムと排出を抑えるマグネシウム。
バランス良くとるためには2つが同時に摂れる大豆製品がおすすめです。
- 木綿豆腐 200g
- 鶏ひき肉 100g
- 長ネギ(みじん切り)1/2本
- にんにく(すりおろし)小さじ1
- しょうが(すりおろし)小さじ1
- ごま油 大さじ1
- 水 200ml
- 鶏がらスープの素 小さじ2
- 塩こしょう 少々
- 水溶き片栗粉 大さじ1
- 青ねぎ 少量
- 豆腐は水切りし、2センチ角に切る。
- フライパンにごま油をひき、鶏ひき肉、長ネギ、にんにく、しょうがを入れて炒める。
- 鶏ひき肉に火が通ったら水を加えてひと煮立ちさせる。
- ③に豆腐と調味料を入れ混ぜ合わせ、水溶き片栗粉を入れて混ぜる。全体にとろみがついたら器に盛り、青ねぎを散らして出来上がり

わかめとじゃこの卵炒め

▶たんぱく質…卵
▶カルシウム…じゃこ
▶マグネシウム…わかめ
たんぱく質は骨質の材料となったり、骨形成の促進、カルシウムの吸収を助ける作用があります。
大豆製品や小魚はカルシウムとたんぱく質を一度に摂れるので効率的です。
包丁を使わずに手軽に作れる卵やじゃこを使って一品プラスしてみてはいかがでしょうか。
- わかめ(生) 40g
- ちりめんじゃこ 30g
- 卵 2個
- しょうゆ 大さじ1
- 酒 小さじ1
- みりん 大さじ1
- 卵は割りほぐし、調味料をすべて混ぜ合わせる。
わかめは食べやすい大きさに切る。 - フライパンにごま油を熱し、ちりめんじゃこを炒め、わかめを加えさらに炒める。
- 卵をまわし入れ、全体に火が通ったら出来上がり。

骨を弱くする成分に注意

骨を弱くする食生活にも気をつけてください
次のようなものは骨を弱くするため、なるべく控えましょう。
塩分 …塩分はカルシウムの排泄を促進します。摂りすぎに気をつけましょう。
リン …カルシウムの吸収をさまたげます。リンは加工食品に多く含まれています。
アルコール …飲み過ぎはカルシウムの排泄を促進し、カルシウムと一緒に働くビタミンDの働きを悪くします。
ニコチン …タバコに含まれるニコチンは、カルシウムの吸収をさまたげ、カルシウムを尿中に排泄します。喫煙者は骨粗しょう症にかかりやすくなるといわれています。

これ以外にも糖質の摂りすぎは老化を促進します。
詳しくはこちらの記事でご紹介しています。あわせてご覧ください。
おわりに
骨がもろくなる骨粗しょう症。
高齢になるにつれ発症するリスクも上がりますが「食事・運動・定期的な検診」の3つに気をつけながら、骨の健康を守りましょう。
今回ご紹介した健康な骨をつくる5つの栄養素はこちら。
- カルシウム
- たんぱく質
- ビタミンD
- ビタミンK
- マグネシウム
バランスのよい食生活と体を動かす運動習慣を身につけて、いつまでも自分の足で歩けるように、今できることからはじめていきましょうね。